【クアラルンプール発】第4回 起業家インタビュー 桜リクルート社 創業者 / Beable Malaysia COO 鵜子 幸久さん

2024年12月23日

「海外へ飛び出し、新しい出会いと発見で自ら機会を作り出す
桜リクルート社 創業者兼 / Beable Malaysia COO
鵜子 幸久さん

 

 

こんにちは!起業家インタビュー第4回目はドメスティックな環境から日本を飛び出し、マレーシアで起業された方のストーリーを取材し、紹介していきます。

第4回 ゲスト:桜リクルート社 創業者兼 / Beable Malaysia COO 鵜子 幸久さん

 

お名前

鵜子 幸久 (うのこ ゆきひさ)さん

マレーシア在住歴

21年

現在のお仕事

企業と就職、転職をしたい方を結びつける職業紹介(日本人、マレーシア人どちらも対応しています)

趣味

バンド活動(ボーカル、ベースギター)

好きな食べ物

マレーシア料理全般

マレーシアお気に入りの場所

自宅近くのTTDI公園(緑が多く静かな場所)

座右の銘

自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ

経歴

1987年 リクルート社入社
2003年 マレーシア移住 桜リクルート社設立・オーナー(日系人材紹介会社)
2019年 アンロックアジア COO (日系人材紹介会社、マレーシアのIT人材を日本に送る)
2021年~ Beable Malaysia COO (日系人材派遣・紹介会社)

 

ドメスティックな環境から海外で起業

日本のリクルート社からマレーシアで起業する事になったきっかけを教えてください

リクルート社にいた頃はホットペッパーの立ち上げに携わり、関西エリアの編集長をしていました。当時は紙の雑誌でしたが、今はアプリにもなっていますね。ホットペッパーは街の情報を集めるのが仕事だったので、自分が担当しているエリアの半径5キロ圏内が行動範囲でした。担当しているエリアには詳しくなりましたが、その場所から何十キロ離れたら何もわからない、ましてや海外なんて未知の世界でした。

 

30歳を超えたあたりで海外で働いている日本人何人かと出会い、見知らぬ国に行って起業していると聞き「かっこいい!」と思いました。それから、会社で休みが取れる度にアジアの国々にいる日本人を訪ね、話を聞きました。カンボジアやネパールなどの発展途上国でも皆さん何かを見つけてやってらっしゃるんです。そこでさらに刺激を受けて、海外に出ようというスイッチが突然入りました。ドメスティックな環境から海外に実際に行ったことで、その反動が大きく来たというのが海外に出ることになったきっかけだったと思います。

アジア全域15カ国を訪問し、各国を比較して最終的にマレーシアを選んだ理由は、家族を連れていけるぐらい治安が良く物価が比較的安い、これから成長していく国で、また英語でコミュニケーションが取れることでした。これはインターネット上の情報だけでなく、すべて実際に行ってみたからこそわかったことだと思います。

 

マレーシアで日系の企業に入社する選択も出来たと思いますが、起業を選択したのはなぜですか?

ホットペッパー時代は会社員だったので、会社から守られながらの仕事でした。その為あまり自分の意思が通らず、会社の方針を守りながら言われたことに従い、日々の業務を行っていました。しかしアジアの国々に行って、異国の地で一から何かを始めている日本人の方々にお会いし、自分で決めたことを自分の責任の下で信念を持って貫いてみたいという思いが出てきました。

 

またその頃、「会社を作ってみなよ」と背中を押してくれた人とマレーシアで出会い、その方の会社の四畳半ぐらいの部屋を無償で貸していただきました。その場所が私が創業した桜リクルート社の一番最初のスタートでした。

 

 

若い時(大学生)にしておけば良かったと思う事はありますか?

英語ですね。将来自分が海外に行くなんて思ってもいなかったので、大学時代は英語に力は入れていませんでした。ローカル社員と関わる時に日常会話はできても、会社の方針を伝えたい時や仕事上の専門的な会話になると苦労しました。

 

21年間のマレーシア生活と仕事

2003年にマレーシアへ移住されましたが、当時のマレーシアと現在のマレーシアで大きく変わったと思う事はありますか?

物価はすごく上がりましたね。以前はワンタンミー(現地の麺料理)が2.5リンギットぐらいだった記憶がありますが、今は10リンギット以上します。しかし、それは国が発展しているからであって、物価が上がることをネガティブに捉えるのではなく、国が育っている証拠だとも思っています。その中で、当然所得も上がりながらというのが健全な国の発展だと思います。

 

しかし日本は30年間ぐらい、所得が世界の中ではあんまり変わらない国になってしまったんです。もしかしたら何年後かにはマレーシアが日本に追いつき、並ぶことになるかもしれません。

 

このように日本を外から見ると違う視点を得ることができます。もし、ずっと日本にいたら「日本っていい国だ」という妄想のままで、日本が他の国と比べてどういう立ち位置にいるのかを知ることなく暮らしていたかもしれません。日本の良い部分はもちろんあって、誇りに思います。しかし、広い視点を持っていたほうが日本をさらに良くするヒントを得やすいと思います。

 

 

マレーシア人と仕事をする中で気を付けていることはありますか?

日本では~とか、日本人は~という押し付けは控えています。ローカルの方たちと日本人の価値観はやはり違うんですね。会社内でもマレー系のスタッフと中華系のスタッフがいますが、彼ら同士も違う価値観の中でお互いを尊重しています。

 

宗教のことなどセンシティブなこともあるので、彼ら人間一人一人っていうのはしっかりと理解してあげた上で、それぞれが会社の役割を果たしてチームとして仕事ができるように気を付けています。

 

日本人とマレーシア人の仕事の仕方に違いはありますか?

日本人はマルチタスクが出来るんですよね。これをやりながらあれも、これもっていうのが頭の中で仕分けが出来て、自分でプランを立てられます。また、急な追加の仕事にも対応できます。

 

しかし、ローカルの方たちはそれが苦手だと感じます。一つ仕事を割り当てると、それに集中してくれるけれど、あれもこれもっていうのは難しいんです。それをしっかりと踏まえて業務指示を出すのが私の役割であり、私がマレーシアに来てから磨かれている部分ですね。チームのリーダーとして彼らのスキルを最大限に引き出す為に、1週間前から業務プランニングができる能力が必要だとマレーシアに来て学びました。

 

鵜子さんがマレーシアに住み始めた頃に比べ、現在は当国に住む日本人が増えたと思いますが、日本人がマレーシアに惹かれる理由は何だと思いますか?

マレーシアでは外国人もローカルと同じようなレベルの生活が出来ると思います。仕事はありますが、やはり生活が大変という国もあると思います。マレーシア周辺の各国に知り合いがいますが、インフラや治安の悪さなどで苦労していらっしゃる方もいます。しかし、マレーシアは治安が良く、インフラも特に首都であるクアラルンプールは整っています。

 

また、マレーシアの物価は上がっているとはいえ、日本と比較すると毎日贅沢をしなければ日本の生活の半分ぐらいで収めることが可能です。
やはり日本人がマレーシアに惹かれる理由は、住みやすい環境が整っている、物価コストの低さなどだと思います。日本よりは人間関係のストレスもそんなに感じません。だから就職者だけでなくMM2H(リタイアビザ)や大学留学・母子留学など、自分の意思でやってきた様々なカテゴリーの日本人が現在2万人以上滞在しています。

 

お子様への教育、マレーシアにいながら日本の文化、言語、礼儀など教える事についてはどう対応されましたか?

教育については何が正しい、何が間違っているっていうのはないと思っています。私の子供は現地の日本人学校にお世話になりました。小さかったのでマレーシアに連れては来ましたが、ひとまずはきちんとした日本人として育てようと思いました。日本から赴任してきた先生が日本の教科書を使って教えてくれます。ただ、子供が大きくなったら、子供の判断があるので、それは君たちが判断しなさいと伝えていました。

 

私の知り合いはお子さんをインターナショナルスクールに通わせていました。最初から多文化の環境に身を置いていたら、将来の選択肢を広く持つことが出来るかもしれません。

 

結局どこに身を置いて、何をやるかという自己プランニングとゴール設定が大切だと思います。

 

 

実際に来てみて感じて欲しい

これからやりたい事、挑戦したい事を教えて下さい

日本では海外に行った事がない人の比率が高まっていると思っています。ショッキングな事に、日本人のパスポートの保有率は20%を切っています。
「どんな形であれ、日本から出て、海外を見に来て欲しい」という事を日本にいらっしゃる高校生、大学生ぐらいのとても頭が柔らかくて、素直な方々に伝える事をしたいです。私がアジアの国々を回って、現地で働く日本人の話を聞くという機会を作ったように、来てみて実際に会って話を聞く事が大切だと思います。

 

 

 

マレーシアで働きたいと思っている人へメッセージをお願いします

あまり構えずに、気軽な旅行でいいので見に来てください。1週間くらい滞在すれば、その国がどんな国かが分かると思います。ぜひ、お休みを使って来て下さい!自分で動いてきっかけを作れば、新しい出会いや発見が得られると思います。

 

 

 

 

 

【インタビュアー】

 

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