【クアラルンプール発】マレーシアのスーパーリーグで活躍する日本人選手

2025年01月14日

マレーシアのスーパーリーグの一つである、ヌグリスンビランFCに所属されている佐々木匠選手にインタビューをしました。マレーシアでプレーをしていて感じること、また住んでいるセレンバンについてお話を伺いました!

 

佐々木 匠(ささき たくみ)選手

 

マレーシアにはいつ来られましたか?

2024年の2月に来ました。それ以前は愛媛FCに2年間所属していました。出身地である仙台のチームでプロになり、そこでは5年程プレーをしていました。

 

海外のチームでプレーしたいという思いを持ったきっかけを教えて下さい。

U-20日本代表やU-19日本代表に選んでいただく機会が何度かあり、その時に海外遠征がよくあったので海外でプレーする事にはとても興味を持っていました。そこで現在所属しているチームからオファーを頂いて、条件面で良い部分があったので「じゃあ行ってみよう!」というチャレンジ精神で決断しました。

 

マレーシアのチームへの移籍を決断した時、マレーシアにはどんなイメージを持っていましたか?

正直、マレーシアという国について全く知りませんでした。
マレーシアには来たことが無かったので、治安や衛生面があまり良くなく、人が多いという東南アジアのイメージを持っていました。

しかし、マレーシアへ実際に来て僕が持っていたイメージは180度変わりました。首都であるクアラルンプールの発展には驚きましたし、セレンバンでも僕が住んでいるエリアは街が新しく、大きなショッピングモールもあります。日本での生活と比較してもあまり変わらないなと感じることがよくあります。また、人がとても温かいと思います。日本も親切な方が多いですが、マレーシアの方たちは外国人に対してもとても親密に接してくれると感じています。

 

チームメイトとのコミュニケーションはどうですか?

来る前に英語を勉強していたので、今は英語でコミュニケーションが取れているので良かったなと思っています。少しづつですが覚えたマレー語を話すとチームメイトも喜んでくれます。以前、チームメイトが自身の兄弟の結婚式に僕を招待してくれました。家族の大切な行事であるのにも関わらず、外国人である僕を迎えてくれてマレーシア人の温かさに触れる機会となりました。やはりこれも外国人にもオープンに接してくれるマレーシア人のマインドなのかなと思います。

マレー語は練習中やプレー中でも使う事があるので、チームメイトが使うのを聞きながら、これはこういう意味なんだなと少しづつ理解しています。特にマレー語の数字は早く覚えました。例えば「ここはワンタッチね」「ツータッチね」等と伝える時によくマレー語の数字を使います。また、日本人として挨拶を大事にしたいと思っているので、Selamat pagi(おはよう)、Assalamu alaikum(アラビア語の挨拶)等の現地の人がよく使う挨拶は先に覚えて使えるようにしました。

 

マレーシア人とプレーする中で、日本人と違うなと感じる事はありますか?

マレーシア人はあまり細かいところは気にしないと感じます。プレー中の小さなミスはあまり気にせず、結果が良ければオーライ。このようなマインドが生活でも見受けられるので、これは恐らく文化だと思いますし、それがサッカーにも出ているんだなと感じます。これは時にあまり良くない事でもあるんですが、僕はそのネガティブにならない考え方は良いなと思うんです。

日本には ” 郷に入っては郷に従え ” という言葉があるように、私たちはマレーシアに居させてもらっているので、マレーシア人をリスペクトするのがまず大事だと思います。そうすれば彼らも僕達の事を好きになってくれ接しやすくなります。ただ、日本人としてのプライドもあるので僕は練習時間には遅れないようにしますし、細かな事にも注意して改善すべき事に気付けるようにしたいと思っています。そうしていると、現地の方たちも「やっぱり日本人って凄いよね」と評価してくれます。

 

 

マレーシアは多宗教、多文化の国ですが、チーム内で宗教や文化による違いを感じた事はありますか?

宗教の決まり事によって生活リズムが違うので、練習時間がそこにフォーカスされています。例えば断食の時期であれば、ムスリムの選手は日が出ている間は食べたり飲んだり出来ません。なので食べてから練習できるように夜10時から練習がスタートしました。マレーシアに来てすぐ断食の時期が始まったので、とても驚きました。しかしこれもマレーシアの習慣ですし、すべてが新鮮で面白いです。

断食の時期はまだリーグが始まる前だったので、僕もチームメイトと一緒に断食に挑戦してみました。飲食が出来ないので辛いかなと思っていたのですが、やってみると断食中は気持ちがスッキリしていました。日本でもファスティングといって健康の為にやっている人もいますよね。その時体重が3-4キロ落ちてしまったのはあまり良くなかったんですが、初めての経験だったので楽しかったです。

セレンバンでの生活はどうですか?

僕はずっと仙台、愛媛と地方に住んでいたので、セレンバンも似たような感じがしてとても住みやすいです。
仙台から東京には新幹線で1時間半で行ける距離なんですが、セレンバンからクアラルンプールまでは車で1時間弱で行けます。必要であればクアラルンプールに行き、住むのは静かでリラックスできるセレンバンという生活スタイルが僕には合っているんだと思います。

 

クアラルンプールには日本人が多く住んでいますが、佐々木選手はセレンバンに住んでどう感じますか?

僕は日本人もセレンバンを好きになってくれるのではないかと思っています。便利さで言えばクアラルンプールかもしれませんが、例えば家族でマレーシアに来られている方であればセレンバンの方が安全だと思います。近くに公園があって子供を広い所で走り回って遊ばせられます。
僕が住んでいる場所は住宅が集まるエリアなのですが、入口にはセキュリティーゲートがあり周りは壁で囲われています。近くにはイオンモールもありますし、地元のスーパーでも日本食が買えて品揃えも豊富です。なので生活に不便を感じた事はないですね。

クアラルンプール在住の日本人にセレンバンに住んでいると伝えると、セレンバンを知らない人がほとんどです。やはり日本人の方はクアラルンプールや有名な観光地に行く事が多く、知名度が低いセレンバンへ来る機会が無いんですよね。僕はセレンバンで暮らしてみて住み心地が良いと思いますし、より地元の方々の生活、習慣や文化を楽しめているなと感じています。近所の方々は食べ物をおすそ分けしてくれたり、ホームパーティーや子供が生まれたお祝いの場にも誘ってくれたりします。
是非日本人の方にもセレンバンに来てもらって、現地の方たちの生活をより身近に感じて欲しいです。

 

 

マレーシアの食事はどうですか?

マレーシアは食べ物の種類が豊富で気に入っています。レストランだけでなく外にある屋台もレベルが高くてとても美味しいですね。

練習がある時はチームメイトとお昼を食べる事が多いです。家では奥さんが料理を作ってくれるので日本食中心ですが、ずっと日本食を食べているとマレーシア料理が食べたくなるので、そういう時は外食をしてマレーシア料理を食べています。

 

最後に今の目標を教えて下さい。

ヌグリスンビランFCに移籍してから多くの現地の方々に助けてもらっています。チームメイト、スタッフの方々にもとても良くしてもらい、このチームへの愛着を持ち始めています。サポーターの方々からも期待して頂け、街を歩けば声をかけてくださる事もあります。
セレンバンが好きですし、いつも助けてくれる方々や応援してくれるサポーターの皆さんの為にこのチームを更に強くすることが今の目標です。

 

 

インタビューを終えて

今回のインタビューはヌグリスンビランFCのオフィスで行いました。スタッフの方々が佐々木選手を見つけると駆け寄って行き、握手やハグをしていて嬉しそうに挨拶している姿を見て、佐々木選手がチームの方々から慕われているんだなと感じました。
佐々木選手が暮らすセレンバンの魅力もたくさん教えていただき、是非多くの日本人にセレンバンへ訪れて欲しいと思いました。

セレンバンについて知りたい方は、こちらの記事もチェックしてください。

 

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